耐震補強とは
1995年(平成7年)1月17日、阪神・淡路大震災が発生しました。
この震災で、約6,400名の尊い命が奪われました。死者の80%相当、約5000人は木造家屋が倒壊し、家屋の下敷きになって亡くなられたそうです。倒壊した家屋の多くが1982年以前に建築された建物でした。1982年に耐震性を考慮に入れて建築基準法が改正されましたが、その後に建築された物件の被害が少なかったことが報告されています。震災後も、1996年、2000年、2006年に建築基準法は改正されています。
新築した時の建築基準法に対し違法でなかったら、現在の基準法に適合していなくても違法ではありません。しかし、家族の安全を守るためにも今一度、見直す必要があるのではないでしょうか?
日本では耐震性のない木造住宅が1000万戸有ると言われています。
今回、私たちで耐震補強させて頂いた物件で、耐震補強の方法をご紹介したいと思います。なお、耐震補強の方法は建物の状態、条件により異なります。今回掲載するものは、ほんの一例です。
坂井市 N様邸
1980年に建てられた住宅を耐震補強しました。
今回のN様邸では1982年の耐震性を考慮した建築基準法ができる前に建築された建物のため不安があるとのご相談でした。この不安を解消し、今後も安心して暮らせるように耐震補強工事を行いました。
調査の結果、大きく分けて、以下の3項目を施工する事になりました。
①住宅の基礎をやり替える事による補強
②構造材を増設する事による補強
③構造材を専用金具で強固に繋ぎ止める事による補強
これらに伴い、壁を取り外すため、同時に断熱材の増設、内外壁の張り替えも行いました。
①基礎のやり替え
昔、福井で建築された住宅で見かけますが、N様邸も土台下の基礎を笏谷(しゃくだに)石と呼ばれる足羽山で採掘された石を積上げて造られていました。地震などで住宅が揺れた場合、基礎がズレる可能性があるため、コンクリートによる布基礎にやり替えました。
写真は、既存住宅を土台から油圧ジャッキで持ち上げているところです。既存住宅に歪みを与えないよう注意しながら、複数個所で慎重にジャッキアップしていきます。
笏谷(しゃくだに)石の基礎から土台が浮き上がったところで笏谷石を撤去します。
笏谷(しゃくだに)石の基礎を撤去後、コンクリート基礎用の鉄筋を組みます。鉄筋がズレたり抜けたりすることの無いよう、ドリルでベースに穴を開けケミカルセッターと呼ばれる接着剤で鉄筋を固定します。
コンクリート基礎用の配筋が完了しました。出来上がりが構造計算通りの強度を確保するために、寸法や間隔なども重要な管理内容です。
基礎コンクリートが寸法通りに出来上がるよう、型枠と呼ばれる板で囲います。コンクリートの硬化後に土台と基礎が一体化するようにアンカーボルトを設置しておきます。これで地震などで揺れても基礎と土台がズレる心配もありません。
コンクリートは空洞ができないよう注意しながら打設します。また配合されている各材料が分離しないよう注意して打設します。
他にも多数、管理内容がありますが、これら一つ一つの管理が良質な品質につながり、設計通りの強度へとつながります。
昨今、『手抜き工事』の記事を新聞などで見ますが、わたしたちは見えなくなる場所だからこそ責任を持って施工に努めています。
コンクリートが硬化し、所定の強度が出てから型枠を取り外します。そして笏谷石の板を貼り、元の外観に合わせます。
水切り、外壁を施し、基礎のやり替えが完成です。
見た目は工事前と変わりませんが、強固な基礎となり、揺れにも強く安心して暮らせるようになりました。
②構造材による補強
木造住宅において、構造耐力の不足している部分、構造計算上は問題ないが更に補強したい部分には、構造材を用いて補強します。
右の写真は、筋交(すじかい)で補強しています。筋交とは柱・梁に対して斜めに取り付ける部材です。
筋交は圧縮力・引張り力、両方に対して有効で、建物の揺れを抑えたり、倒壊を防止する為に有効です。
左の写真は、つなぎ梁を増設し補強しています。既存梁にかかる水平力を分散させ、梁の座屈(腰折れ)を防ぐのに有効です。
右の写真は、構造用合板で補強しています。構造用合板は、あらゆる方向からの力に対して、抵抗力を発揮します。筋交が入らない場所や、入っているけどもっと頑丈にしたい。という場合などに使用します。とめるビスの長さ、打込み間隔は基準に従い施工します。下地についても同様の管理が必要です。
③専用金具による補強
構造材をより強くつなぎ止めるために金具を取り付けます。
昔建てられた木造住宅は、筋交を釘だけで止めている家が多いようです。そのため、地震の揺れや台風で家屋が揺れると、少しづつ釘が抜けてきたり っといったような現象が現れます。長い年月で考えるとやはり不安になります。それを解消するために専用の金具で補強します。
右の写真は既存の筋交がある程度の引張り力にも耐えられるよう補強しています。
左の写真は上と同様、筋交の固定が2箇所施してあります。
見えているボルトは、柱と梁の抜けを防止するために取り付けられている専用金具です。
右の写真はホールダウンアンカーの取付作業中です。建物が揺れたときに、土台から柱が抜けたり浮き上がったりしないように既存コンクリート基礎と柱を固定します。
土台の木材と基礎コンクリートにドリルで穴を開けます。ケミカルセッターと呼ばれる薬剤を用いて、コンクリートにボルトを挿し込み、想定される引抜力に耐えられるように接着します。コンクリート基礎とボルトが固定されてから、柱とボルトを金具で固定します。
かしこい耐震補強工事の進め方
衣・食・住、全てにおいて安全基準は常に変わっております。住宅の基準となる建築基準法も昔からみると大きく改定されました。阪神大震災でも倒壊した家屋のほとんどが現在の基準を満たしていないのです。
自分の住宅を心配に思われている方が多数いらっしゃると思います。どうせするなら賢くしませんか?
耐震診断にも、耐震補強工事にも、地方自治体により異なりますが、補助が出るような制度があります。その他、減税措置や、ついでの工事など耐震補強工事は進め方次第で得する事が多々あります。ぜひ一度ご相談下さい。
当社のある越前市では、木造住宅の耐震性を向上するための支援をしており、
耐震診断(一般診断法)」+「補強プラン」6万円のうち、申込者の負担は6,000円で出来ます。
実際工事をする事になった場合、耐震改修に要する費用の3分の2以内で、最高60万円まで補助が受けられるようになっています。
※補助を受けるためには条件、審査があります。詳しくはご相談下さい。
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